芥川龍之介の鼻のあらすじ「長い鼻を笑われる僧」

あらすじ
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大正5年に発表された芥川龍之介の「鼻」は、人の醜い心理を捉えた作品になっています。

前年に作り上げた小説が不評だったことが原因で落ち込んでいた芥川龍之介は、この「鼻」を読んだ夏目漱石から絶賛される手紙を貰います。

それがきっかけとなり、作家として生きていいくことを決めたというエピソードがあります。

そんな「鼻」のあらすじとは、一体どんな内容だったのでしょう。

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芥川龍之介「鼻」のあらすじ

物語は、五十を越えた老僧の特徴を紹介するシーンから始まります。

大きな鼻を持つ僧

池の尾の僧である禅智内供(ぜんちないぐ)は、約15センチもの長さがある鼻を持っています。

そのため、人々にはからかわれ馬鹿にされる日々を過ごしており、自尊心は大きく傷つけられていました。

しかし大きな鼻を気にしていることを周囲に悟られないようにするため、いつも平気なふりをしていたのです。

その鼻は食事をするときにも厄介で、弟子に鼻を上げていてもらうしかありません。内供は何度も鼻が短く見える方法を考えましたが、どれも上手くはいきませんでした。

短くなった鼻

ある日、内供の弟子が鼻を短くする方法を医者から聞いてきたと言いました。興味が無いふりをしつつも、期待しながらそれを試してみることに。

その方法とは、鼻を熱湯で茹でて、それを弟子が足で踏むというものでした。

そしてついに、鼻を短くすることに成功したのです。普通と変わらない自分の鼻を見て、内供はとても満足し、自尊心を取り戻しました。

笑うものは減らなかった

鼻も短くなり喜んだのもつかの間、内供のことを笑う人は減るどころか、日に日に増えているように感じます。

かつて笑われていたのとは違う、不幸に陥れるような笑いにとても不快感を覚えました。

人間は誰もが他人の不幸に同情しますが、その不幸を乗り越えると、今度はつまらないと感じるようになります。

そしてもう一度同じ不幸に遭わせたいという、一種の敵意のようなものを抱くのです。そんな傍観者の利己主義に触れた内供は、短くなった鼻をかえって恨めしく思うようになりました。

元に戻った鼻と晴れやかな心

そんなある夜、内供は鼻にひどい違和感がありなかなか寝付けずにいました。無理に鼻を短くしたことで、病気になってしまったのだと考えます。

しかし、翌朝目が覚めてみると、鼻に懐かしい感触があることに気が付きました。内供の鼻は、以前の長く滑稽な形に戻っていたのです。

これでもう笑うものがいなくなるに違いないと、晴れ晴れした気持ちになる内供なのでした。

青空文庫:芥川龍之介「鼻」

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