野菊の墓(のぎくのはか)は、伊藤左千夫(いとうさちお)が明治39年に発表した小説です。何度もドラマ化されたこの物語は、夏目漱石が絶賛した作品でもあります。
それでは伊藤左千夫「野菊の墓」のあらすじを簡単にご紹介します。
伊藤左千夫「野菊の墓」あらすじ
物語は、15歳の少年と17歳の少女との淡い恋模様となっています。
政夫と民子のちいさな恋
小学校を卒業したばかりの政夫は、病気の母と一緒に暮らしています。そんな母の世話や家の仕事を手伝うために、従姉である民子が政夫の家を訪れていました。
民子は政夫よりも二つ年上でしたが二人は大の仲良しで、それは近所からも評判となります。
そんな二人を政夫の母は枕元へ呼び、その歳になればもう子供ではないのだと諭します。それがきっかけとなり、政夫は民子に恋心を抱いてしまうのでした。
二人だけの秘密の時間
ある秋の日、母からの申し付けで政夫と民子は畑へ綿を摘みに行きます。近所で噂になっていることを気にして、二人は別々に家を出て、村はずれにあるおきな銀杏の木の下で落ち合いました。
畑へ向かう途中には菊が生えていて、菊が好きだという民子にあなたは菊のような人だと言います。
そして、そんな菊が好きだとも話し、二人きりでの時間を過ごしました。しかし、彼らはお互いのことを好きでしたが、その思いを伝え合うにはまだ幼すぎたのでした。
大人たちに強いられた離別
二人の帰りが遅くなったことに怒った母は、政夫を予定より早くに東京の学校の寮に入れることを決断します。
こうして政夫と民子は離ればなれになり、二人の間に芽生えた恋は、世間を気にする大人たちによって叶わぬものとなってしまうのでした。
寮に入る前日、政夫は民子に自分の想いをつづった一通の手紙を渡します。
自分がいなくなってから読んでほしいと告げ、東京へ旅立ちました。その後、民子は自分の家へ戻され、強いられて結婚をさせられることとなります。
民子との永遠の別れ
数年後、民子は流産が原因で命を落としました。亡くなった民子の手には、政夫の写真とあの時の手紙が握られていたのだそうです。
嫌がる民子を無理やり嫁に行かせたことを、母親はとても後悔して詫びました。
その後七日間、政夫は民子の墓の周りに菊の花を植えました。そして、辺りは民子の好きな菊の花でいっぱいになるのでした。
感想
結局親に逆らえず、政夫と民子はお互いの想いを伝え合うこともなく、永遠に別れてしまう悲恋です。
年上の女性との恋愛
民子が亡くなって母親はとても後悔しています。しかし母親が2つ年上の女性をお嫁さんには出来ないと言っていることに驚きます。
今では男女の年齢なんて関係ありませんが、女性が年上というのは、この時代ではあまり良いことではなかったのでしょうね。
民子が握っていた政夫の写真と手紙がただただ悲しいです。
幼い2人の恋模様
思春期の頃って、周りの人たちにちょっと騒がれただけで恥ずかしくなってしまうことありますよね。
そんな風に政夫と民子も周囲の大人たちを気にして、お互いの気持ちを伝えられません。そして離れ離れになってしまいます。
「野菊の墓」は、松田聖子さんや山口百恵さんが主演されたドラマや映画があります。そちらの方も興味深いです。