おそらく誰もが子供時代に遊んだ記憶がある「縄跳び」ですが、「跳び縄」とも呼ばれていることがあります。
一般的には「なわとび」という呼び名が浸透していますが、では「とびなわ」という名称はただの別名なのか、それとも根本的に違うものなのか。
名称が違うけれど同じものを指していることはよくありますが、とびなわとなわとびの違いとは具体的にどのようなものなのかを見ていきましょう。
とびなわとなわとびの違い
「なわとび」とは縄を使った遊びのことで、「とびなわ」とは縄自体の名称になります。
- 縄を使った遊び=「なわとび」
- 縄自体の名称=「とびなわ」
そのため、「縄跳びで遊ぼう」という言い方は正しく、「跳び縄を買いに行こう」という言い方も正しいのです。
子供さん用に買い物をするお母さんなら気づいていたかもしれませんが、商品には「跳び縄」と表記されていたのではないでしょうか。
また、跳び縄には「ジャンプロープ」という名称もあります。呼び名が複数あるとややこしい気がしますが、一度覚えると単純だと感じますね。
ですので「とびなわとなわとびの違い」とは、「行為と名称の違い」です。子供さんに聞かれたら教えてあげてください。
縄跳びの歴史
とびなわとなわとびの違いが分かったところで、次は縄跳びの歴史についてご紹介します。
ドイツからやってきた跳び縄
日本の教育で跳び縄が使われるようになったのは、1878年にドイツからやってきた教師が取り入れたことが始まりだと言われています。
学校では1人か2人で飛ぶやり方もあれば(短縄跳び)、大勢の人間が同時に飛び跳ねること(長縄跳び)もありますよね。
これは体を動かす楽しさも味わえるのですが、あまり男女差を感じさせない運動だということも教育に取り入れやすかったのでしょう。
このように、教育の現場で活用されるようになったのは1878年以降のことですが、遊びで行われていたのはもっと昔からだったという記録があります。
娯楽の少ない時代の縄遊び
室町時代の和歌の中に、「縄を飛び越して」という記録が残っています。この時代から縄を使った遊びが定着していたのでしょう。
イメージ的には和歌を詠み、優雅に過ごしているような時代だと感じていました。武家の間では蹴鞠も流行していたので、体を動かす遊びが好きだったのかもしれませんね。
参考:にしおか北(学校便り)
さらに樋口一葉の短編小説「たけくらべ」の一節には、「縄とびの遊びに興をそへて」とあります。
縄を使っただけの簡単な行為は、娯楽が少なかった時代の楽しい遊びだったのでしょう。
樋口一葉は明治生まれの作家です。若くして亡くなったので作品数は少ないですが、発表した小説はどれも高評価を受けています。
まとめ
とびなわは名称で、なわとびは行為です。
そのため、「縄跳びを買いに行く」ではなく「跳び縄を買いに行く」が正しく、「跳び縄で遊ぶ」ではなく「縄跳びで遊ぶ」が正しいということ。
また、縄で遊ぶことは娯楽の少ない時代から親しまれてきた遊びです。
古い時代から楽しんできた縄跳びは、今では子供から大人までが手軽に運動できる人気のスポーツだと言えるでしょう。