芥川龍之介の河童のあらすじ「主人公は不思議な国へ迷いこんだ」

あらすじ
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「河童」とは、芥川龍之介が亡くなった1972年に発表された作品です。

彼が自ら命を絶ってしまった原因は分かっていません。しかしこの作品には、彼が思い悩んでいた理由が反映されているのかもしれないと言われています。

それでは芥川龍之介「河童」のあらすじを簡単にご紹介します。

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芥川龍之介「河童」のあらすじ

物語はある男が河童に出会うところから始まります。

河童が僕を見下ろしていた

第23号と呼ばれる30歳を過ぎた精神病を患った患者がいました。彼は入院生活をしており、病院の院長をはじめ看護師や同じ入院患者など、誰にでも話すエピソードがありました。

3年前の夏、第23号が穂高山を登っていた時のことです。登山の途中、腕時計を見るとそこに気味の悪い顔が映っていて、振り返るとそこには河童が僕(第23号)を見下ろしていました。

僕は急いでその河童を追いかけることに。

30分くらい追い続け、やっと手が届くと思った瞬間に僕は深い闇の中へ真っ逆さまに落ちていったのです。

河童の国へ迷い込んだ男

気が付いた時には、僕の周りにたくさんの河童が取り囲んでいました。僕は河童の国へ迷い込んだのです。

河童の国では人間社会とは真逆の考えを持っていました。

例えば恋愛に関しては雌が雄を追いかけ回したり、人間では子供が出来ないようにするところを河童はお腹の中の赤ちゃんに「生まれてきたいのか」と確認し、「生まれたくない」と答えれば即座に産まない選択に至ります。

河童の国では人間は特別保護住民として扱われ、働かなくとも食に困る事はありませんでした。

僕以外にも過去に河童の国へ迷い込んだ人間は何人もいましたが、人間界に帰る者、亡くなるまで居続けた者、それぞれだったようです。

違和感を感じる河童たちの思想

いろいろな河童と交流し、言葉を覚え居心地が良いようにも感じていた僕ですが、職を失った河童を安らかに亡くならせてから食肉とする習慣や、資本家の癒着を知っていながらも普通以上に熱く彼らを支えている河童たちを見て、なんとなく疑問を感じていたのも事実です。

そんな中、僕が仲良くしていた詩人の河童が亡くなったのをきっかけに人間界に戻る事を決めたのです。

河童の国から出る際、1匹の河童は僕に「後悔するなよ」と言い送りだしました。

精神病と診断されてしまった男

元の世界に戻ってきた僕は早速、事業を立ち上げることに。しかし、その事業も上手くいかず結局は1年で破たんしてしまいました。

もう一度、河童の国へ戻りたいと思った僕は汽車に乗ろうとしましたが、そこで警官に捕まりそのまま病院へ連れてこられたのです。

今ではたまに河童たちが水道管を通ってお見舞いに来てくれます。河童の医者チャックは、早発性痴呆症だと診断されている僕に対し、早発性痴呆症はその他の人間の方だと、そう言ったのです。

感想

河童たちの世界では、私たちが当たり前だと感じているような感覚とは反対のことが普通でした。

そして河童の世界に馴染んでしまった男は、人間社会では精神を病んでしまったことになり、普通の社会生活は送れなくなったのです。

私たちが当たり前だと感じていることは河童の世界では通じません。まず赤ちゃん自身に産まれる、産まれないという選択肢があります。親は赤ちゃんの意思に従うのみです。

読んでいると、一体何が常識で何が非常識なのかが分からなくなるかもしれません。芥川龍之介は河童という世界を通して、人間社会の常識を批判しているのでしょうか。

色々考えさせられるので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

参考:芥川龍之介「河童」青空文庫

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