長期保存ができて、非常食としても重宝する羊羹のツールは、実は日本ではなく中国だったのです。
長い歴史の中で、中国からどのように伝わってきて日本に根付くことになったのか。
今回は、羊羹のツールに迫っていきたいと思います。
羊羹のルーツは中国
日本の伝統的なお菓子として、長い歴史を持つ羊羹が、中国からやってきた流れを見ていきましょう。
1000年以上前に伝わる
羊羹が日本にやってきたのは、鎌倉時代(1185年ー1333年)から室町時代(1336年ー1573年)にかけてのこと。
中国に留学していた禅僧が持ち帰ったのが羊羹です。
ただ、当時の中国で羊羹といえば、羊(ひつじ)の羹(あつもの)を使ったスープを指します。
羹とは、肉や野菜を使った汁物のことなんです。つまり、羊羹は羊肉のスープということ。
漢字がそのままルーツを物語っていたということになりますね。
当時の羊羹
中国から伝わってきた頃の羊羹は、前述した通り羊肉を使ったスープのこと。
だけど、中国から羊羹をもたらした禅僧は、肉食が禁じられていたんですね。
だから羊肉の代わりに植物性の小豆や葛粉、小麦粉を用いて精進料理としたのです。
小豆などの食材を練り固めて、羊肉のようにしたということ。
ルーツを見ていくと、伝わってきた当時は今の形ではなく、時代を経て現代の羊羹に近づくんですね。
江戸時代
羊羹が中国から伝わってきた当時、砂糖は希少価値の高い調味料でした。
だけど、年月を重ねると、だんだんと砂糖が手に入りやすくなるんですね。
そうすると、羊羹に砂糖を加えだすように。そして江戸時代には、今の形になったといわれています。
時代劇でも、江戸の庶民が気安く甘味処でお菓子を食べている風景を、よく見かけるのではないでしょうか。
それから砂糖のルーツも、奈良時代(710年ー794年)の中国から伝わっています。中国の高僧である鑑真が持ってきた、遣唐使によってもたらされた、などの説があるんですね。
そこから時代が移り変わり、江戸の初期になると、琉球王国(沖縄県)が黒糖を生産するようになります。
希少だった砂糖が、庶民に親しまれるようになったのは、江戸に入ってからのことだったのです。
砂糖は保存食として最適
羊羹には大量の砂糖が使われています。そのため、保存食として最適なのです。
それは、砂糖の防腐性を生かしているから。
菌は、水分があることで繁殖するんですね。だけど、砂糖は水分を吸収しやすい性質があります。
羊羹は砂糖を煮詰めて作られることから、菌の繁殖を助ける水分が少なくなっているのです。
菌が増えないようになることで、保存期間が延びるということ。
ただ、羊羹の製造方法は、メーカーによって違います。
どれだけ砂糖が使われているのかによって保存期間は変わってくるため、メーカーの賞味期限は守りましょう。
老舗和菓子店として有名なとらやの羊羹は、賞味期限が製造から1年となっています。
ちなみに井村屋の『えいようかん』という商品は、賞味期間がなんと5年6か月です。
これだけ長期間だと、備蓄保存用としてピッタリですね。