ダンテの詩人としての生涯、神曲が誕生した背景にあった愛とは

歴史
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ダンテの神曲(しんきょく)は、世界で高い評価を受けている叙事詩です。

日本に伝わったのは、明治35年に出版された森鴎外訳の、「即興詩人」という作品の中で紹介されたことがきっかけでした。

原題は「神聖喜劇」を意味するイタリア語の「La Divina Commedia」ですが、日本では森鴎外が紹介した「神曲」という呼び名が一般的になっています。

そして神曲に登場する「永遠の淑女」とされる女性への愛が、作品を作る背景にあったといわれています。

その女性とはどんな関係で、またダンテとはどういった人物だったのでしょう。

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ダンテの詩人としての生涯

ダンテ・アリギエーリは、イタリアフィレンツェ出身の詩人であり、哲学者や政治家でもありました。

しかし、ダンテ自身については、正確に伝わっていないことが多いといえます。

特に、少年時代の記録がほとんど残っていません。そのため、どう育ってきたのかなど、詳しい詳細がなく謎に包まれています。

わかっていることは、ダンテの作品からヒントを得た情報が大きいと考えられるでしょう。

ダンテの生い立ち

ダンテは1265年、フィレンツェに誕生しました。

生後、聖ジョヴァンニ洗礼堂で洗礼を受けると、「永続する者」という意味を持った「ドゥランテ・アリギエーリ」と名付けられます。

ダンテの生い立ちには諸説あり、修道院で見習い修道士として修行していたとか、没落貴族の子弟として世俗の中で育ってきたとも。

ダンテは生涯詩人として生き、若い詩人グループである「清新体派」を作りました。

そうして詩人として歩みながら、フィレンツェの政争に巻き込まれ、晩年をラヴェンナで過ごすことになります。

ラヴェンナの地で代表作である「神曲」を書き上げ、1321年に56歳でその生涯に幕を閉じました。

永遠の恋人との出会い

神曲が誕生した背景には、政治に巻き込まれて故郷を追放されるといった出来事がありました。ですが、他にもある女性への愛が大きく関わっていたともいわれています。

ダンテが9歳の頃に、同じ年齢の少女ベアトリーチェ・ポルティナーリに出会います。

わずか9歳で衝撃的な恋に落ち、その後18歳になったときに再会。しかし、彼女とはただ会釈しただけで終わります。

それから24歳という若さで亡くなってしまったベアトリーチェを、永遠の恋人としてダンテはずっと想い続けるのです。

このベアトリーチェですが、実際に存在した人物なのかどうかわかっていません。

ただ、その後ベアトリーチェへの恋焦がれる想いを、ダンテは代表作である「新生」にまとめています。

彼女が実在したかどうかはあまり問題ではなく、ダンテの生涯の恋人といわれるベアトリーチェ・ポルティナーリの存在があったのは確か。

だからこそ、ダンテは成功し、現代にも名作を残せたのではないでしょうか。

神曲に込めた想い

当時フィレンツェでは、政治の勢力が分かれていました。

ダンテが所属していた派閥が弱まったことで、フィレンツェを追放されることになります。

故郷を追い出されたダンテは、それから約20年にも渡り各地を点々とすることに。

フィレンツェに戻ると焚刑(ふんけい)にされるということだったので、故郷を離れるしかなかったのでしょう。

そんなダンテは、神曲に自分の感情を投影させています。ベアトリーチェへの崇敬な想いだったり、政治への痛烈な批判だったり。

ですが、焚刑されるかもしれない状態だったとしたら、批判をしたくなっても仕方がないと思います。

政治の出来事も神曲で表現されており、作品の中で政治家や教皇でさえ批判しているダンテ。

ただ、実際の人物を物語に登場させることで、リアリティが増したことも、神曲が評価された理由の一つでしょう。

ちなみにダンテを陥れた人物は、どんなに身分が高い人でも作品の中で地獄に落として苦しませています。

才能ある詩人に嫌われると、何百年にも渡って物語の中で攻められ続けられることに……。

このように、ダンテの生涯は波乱に満ちたものでした。

まとめ

ダンテはルネサンスの先駆けともいわれており、「自然は神の作り上げた芸術だ」など数々の名言を残しています。

現在でもさまざまな作品に影響を与え続けている神曲は、ダンテ自身が主役であり、地獄と煉獄を渡り歩いていきます。

その中での案内人が、古代ローマの詩人であるウェルギリウスだったり、愛を象徴する存在であるベアトリーチェだったり。

最期に天国へと辿りついたダンテは、この世は神の愛によって動かされているのだと知ります。

西洋文学に興味があるなら、読んでみる価値はあるのではないでしょうか。

機会があったら、ぜひダンテの詩に触れてみてください。様々な視点から作品を楽しむことができるはずです。

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