太宰治のヴィヨンの妻のあらすじ「遊び人の夫を持つ妻」

あらすじ
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太宰治の「ヴィヨンの妻」は、昭和22年に雑誌で発表された作品です。

女性視点で書かれたこの小説は、ダメ夫を支えながらも強く生きていく女性を描いています。近年でも映画化されるほど、印象深い作品だといえます。

そんなヴィヨンの妻のあらすじとは、一体どんな内容なのでしょう。

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太宰治「ヴィヨンの妻」あらすじ

物語は酔っ払った夫が帰ってきたことに気付く、妻の語りから始まります。

遊び人の夫を持つ妻

語り手の女性は、遊び人の旦那である大谷と、二歳になる息子と三人暮らしをしていました。

大谷は仕事もせずに遊び歩いていたので、家にはお金もなく、度々熱を出す息子を病院に連れていくことも困難な状況。

そんなある日、四十代の夫婦が家を訪ねてきます。彼らは大谷の行きつけである小料理屋の亭主とその妻でした。

そして大谷は逃げるように家を飛び出します。

小料理屋の夫婦と大谷

妻はやって来た夫婦をひとまず家に上げ、話を聞くことにしました。すると、その夫婦は大谷が店の金を盗んだのだと言い、彼のこれまでの出来事についても話し出します。

初めて大谷が女性に連れられて店に来た時は、物静かで上品な印象だったといいます。

次に一人で来た時も、百円という大金を払い、釣りも貰わなかったため、金払いの良い上客になると思っていたそうです。

しかし、大谷が店に金を払ったのはそれきりで、いつも人をだましてただ酒を飲んでいくだけでした。そしてついに店の金を盗んでいき、今回の騒ぎに発展したのです。

借金返済のために働く妻

話を聞いた妻は、自分がなんとか後始末をするので、警察に行くのは一日だけ待って欲しいと頼みます。だけど、家にお金がある訳でもなく、何も良い案は浮かんできませんでした。

翌日、お金の都合がついたと嘘をつき、お金が来るまでは小料理屋の手伝いをすると言って、店においてもらうことにします。

九時頃になり、店には変装をした大谷が女性を連れて来て、盗んだ金を立替えていきました。問題が解決し、妻は胸につかえていた物が取れたような気持ちになります。

その後も、残りの返済するため、店に置かせてもらえることに。

どうしようもない毎日を楽しむ

小料理屋で働く中で、店の常連や夫婦もみんな罪人であると知ります。この世というものに、大谷以上のどうしようもなさを感じつつも、それなりに楽しい日々を送る妻。

ある日、大谷のファンだという男が家を訪ねて来ましたが、大谷は不在でした。しかし彼は家に泊まることとなり、妻と一夜を共にします。

翌日、何もなかったかのように店に出ると、そこには大谷がいました。

彼は、金を盗んだのは家族のためだったと言い訳をしますが、そんな大谷に対して一言、「私たちは生きていさえすれば良い」と妻は言うのでした。

青空文庫:太宰治「ヴィヨンの妻」

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