デンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが、1844年に発表した童話が「雪の女王」です。
2013年公開の映画「アナと雪の女王」は、この「雪の女王」にインスピレーションを得て制作されました。
それではアンデルセンの「雪の女王」の、簡単なあらすじを紹介します。
アンデルセン「雪の女王」のあらすじ
物語は、悪魔が鏡を作りあげたところから始まります。
悪魔の鏡
悪魔がつくった不思議な鏡がありました。それはどんなに美しいものでも、映した存在の美しさを縮こまらせてしまいます。
その代わり、醜いものは余計に憎たらしい姿に映し出すというものでした。
悪魔の弟子たちは、この鏡で天使をからかおうとします。ですが、天に向かう途中で、その鏡を落としてしまうのです。
鏡は砂粒くらいの欠片となって、人々の目や心臓に入り、その心を歪ませるのでした。
仲良しのカイとゲルタ
ある街に、カイという少年と、ゲルタという少女がいました。
二人はとても仲良しで、一緒に絵本を読んでいたとき、落とされた鏡の破片がカイの目と心臓に刺さり、彼の性格はガラリと変わってしまいます。
あれほど仲良しだったゲルタのことも、カイはいじめだすのです。
ある日、カイが一人でそり遊びをしていると、美しい雪の女王に出会います。
彼女は、カイを連れ去るのです。そしてカイは、家族のこともゲルタのことも、記憶から消えてしまいます。
ゲルタの旅
春になり、ゲルタはいつまでも戻らないカイを探しに行きます。
動物たちに尋ねながら旅を続け、城にたどり着きました。ですが、そこに眠っていた王子は、少し似ているけれどカイではありません。
話を聞いた王子は馬車を用意してくれ、ゲルタは再びカイを探しに行きます。しかし、その途中で山賊に捕まってしまうのです。
ロープで縛りあげられたゲルタを救ってくれたのは、山賊の頭の娘でした。
その娘の手助けにより、ゲルタはついに雪の女王が住んでいる宮殿にたどり着くのです。
永遠という言葉
宮殿にいるカイは、寒さを感じません。それは、女王がせっぷんしたことで、カイの体から寒さを吸い取っていたからです。
そんな状況の中でカイは、「永遠」という言葉を作り出そうとしています。
この言葉を作ることができれば自由になれると、雪の女王に言われたからです。
宮殿の中で、ゲルタはカイを見つけました。しかし、すっかり雪の女王の虜になっていたカイは、ゲルタのことを覚えていません。
カイを救った友情の涙
「仲良しのゲルタよ」と言いながら、カイを揺さぶる彼女の目からは涙が溢れました。
すると、その涙はカイのまぶたに落ち、悪魔の鏡の破片を洗い流したのです。
カイはゲルタのことを思い出し、元の優しい少年に戻ったのでした。
二人は手を繋いで宮殿を後にし、家に帰るまでずっとその手を離しません。
町に辿り着いた二人は、おばあさんの読む聖書に耳を傾けるのでした。
感想
雪の女王というタイトルなのに、肝心の女王に関するエピソードが少ない気がします。
雪の女王の目的とは
メインストーリーは、ゲルタの冒険でしょう。大好きな友達を雪の女王に連れ去られてしまって、彼女はたくさん旅をしながらカイを探します。
ただ、なぜ雪の女王はカイを連れ去ったのかが、よく分からないですね。
カイは女王の虜になっていますが、だからといって、自由を奪われているわけではありません。
実際にゲルタがカイを見つけて宮殿から出て行っていますが、紹鴎は邪魔をしてくることもなかったです。
雪の女王の永遠とは
もともと雪の女王には、人間らしい感情がなかったのかもしれません。
最初は、寂しくてカイを自分の宮殿に連れてきたのかと思っていました。けれど、雪の女王は出て行くカイを引き止めることもしません。
ということは、カイ自身に執着していたわけではないようです。
雪の女王が、カイに永遠という言葉を作れたら、「世界ぜんたいとそりぐつをあげよう」と言っています。
もしかして何かを試したかったのか、確認したかったのでしょうか。
