ドストエフスキーの有名な長編小説に「カラマーゾフの兄弟」があります。
様々なストーリーやテーマが入り混じっているため難しく感じる小説です。
難解なところは名前が覚えづらいことと、登場人物一人ひとりに描写が当たりすぎて、本筋から離れてしまうからではないかと思います。
しかし文学史上から見ても最高傑作と評価されている「カラマーゾフの兄弟」とは、いったどんな物語なのでしょう。
カラマーゾフの兄弟のあらすじ
まず登場人物の名前を簡単に紹介しておきます。
- フョードル・カラマーゾフ/成金強欲親父
- ドミートリイ・カラマーゾフ/長男
- イヴァン・カラマーゾフ/次男
- アレクセイ・カラマーゾフ/三男
- スメルジャコフ/フョードルの隠し子
- カチェリーナ/長男の婚約者
- グルーシェンカ/父親と長男が夢中になる美女
他にも登場人物は出てきますが、簡単なあらすじを理解するにはこの当たりの人物を覚えておけば大丈夫です。
カラマーゾフ家の揉め事
あるところにフョードルという強欲で、成金地主の老人がいました。
男には長男ドミートリイと次男イヴァン、そして三男のアレクセイがいて、その他コックとして雇っている愛人の子スメルジャコフがいます。
フョードルと直情的なドミートリイはグルーシェンカという女性を巡って対立しています。
しかしドミートリイにはカチェリーナという婚約者がいて、金銭的な負い目から彼女に婚約破棄を言いだせないのです。
そんなカチェリーナにイヴァンは恋心を抱いています。
三男と次男の信仰への想い
三男のアレクセイは神への信仰が強い男で、彼が尊敬する修道院の長老の容体が悪化した事で凶兆を感じています。
そんな時、イヴァンから無神論を聞かされますが、アレクセイは強い信仰こそが世界を調和させているんだと語ります。
しかしイヴァンはさらに「大審問官」という物語を聞かせ、神が行ったことに対する問いを投げかけます。自由と信仰と実際の社会の矛盾を語る内容から、兄の偏った神経を心配します。
そんなイヴァンはカチェリーナと接近するようになります。
逮捕されるドミートリイ
ドミートリイはカチェリーナとの婚約破棄を実現するため、金の工面をしますが上手くいきません。
普段からフョードルに遺産を与えるように脅しているドミートリイですが、フョードルは遺産を与えればグルーシェンカを奪われるかもしれないと拒否し続けていました。
さらにグルーシェンカが愛人と会っている事を聞きつけ彼女の元に駆けつけますが、ついにグルーシェンカから告白されます。
しかしそんな時に警察から父親の事件の容疑を掛けられて逮捕されます。
何者かによって父フョードルは手に掛けられていたのです。
犯人は誰だったのか?
色々な証言からドミートリイは不利な状況に立たされています。
犯人はドミートリイとする次男イヴァンと、コックのスメルジャコフが怪しいとするアレクセイは絶交してしまいます。
そんな風に揉めているうちに、ある日スメルジャコフがイヴァンに犯人は自分だと、そしてそれはあなたの思想のせいだと言います。
驚愕するイヴァンにさらにスメルジャコフ自害が伝えられます。
自分が罪に問われてもいい覚悟で裁判でスメルジャコフが犯人だと証言しますが、誰も信じてくれません。
さらにイヴァンを庇おうとカチェリーナが、酔って書いたドミートリイの告白書を出したことでドミートリイは有罪となります。
感想
登場人物の本名も覚えづらいのですが、呼び名が変わるためさらに混乱すると思います。
そのため、前もってキャラクターの名前を覚えてから読み進めると、ストーリーだけに集中できるかもしれません。
とくにイヴァンが語る「大審問官」はキリスト教を理解していないと難しいので、宗教の知識も少し備えておくと良いと思います。
この物語には宗教や神話、文化を語っている作品だと言えます。しかし翻訳する人物によって物語の雰囲気が変わるので、色々な翻訳者の本を手に取るのもまた面白いかもしれません。
文学好きなら「カラマーゾフの兄弟」は読んでみるべき作品だと言えるでしょう。