明治41年に書かれた夏目漱石の「三四郎」は、前期三部作(「三四郎」「それから」「門」)のひとつです。ちなみに後期三部作は、「彼岸過迄」「行人」「こころ」となっています。
小説は、田舎から出てきた純朴な青年が、大学で出会った都会の人たちとの交流を描いた作品です。
そんな三四郎のあらすじとは、一体どんな内容なのでしょう。
夏目漱石「三四郎」あらすじ
物語は、主人公が汽車の中でぼんやりと目を覚ますシーンから始まります。
上京する列車の中で
小川三四郎は熊本の高校を卒業した後、東京の大学に入学するため汽車に乗っていました。その道中、一泊する際に、間違えて向かいに座っていた女性と同室になってしまいます。
しかし何も起こることはなく、三四郎は自分なりに気を遣ったつもりだったのですが、その女性からは度胸のない男だと笑われてしまうのでした。
翌日の汽車では、髭の濃い中年の男性と同席します。彼の話を聞いているうちに、初めて故郷を離れて新たな世界へ出てきたのだという気持ちになるのでした。
仲間たちとの出会い
大学に入学して数ヶ月が経ちますが、三四郎は学ばなければいけない授業内容に興味を持てずにいました。
ある日、大学で知り合った与次郎からある先生を紹介されます。それは、偶然にも汽車で話したあの中年の男性でした。
その先生は広田といい、同郷の先輩である野々宮の先生でもあったのです。
広田先生の引っ越しを手伝うことになった三四郎は、野々宮の友人の里見の妹である美禰子と出会います。
そして彼らとグループでの付き合いが始まり、それを通して三四郎は様々な経験をしていくのでした。
美禰子への恋心
皆で菊人形の祭りに出掛けた時、三四郎と美禰子はグループからはぐれてしまいます。
そこで二人は初めて打ち解けた話をすることができ、三四郎は次第に美禰子に惹かれていきました。
しかし、美禰子は時々不思議なことを言って三四郎を翻弄します。二人の距離は近づいているように見えましたが、美禰子の気持ちはよく分からなかったのです。
届かなかった想い
そんな中、三四郎と美禰子が話をしていると、彼らの前に一人の男が現れました。三四郎は後に、その男が美禰子の結婚相手だと知ります。
美禰子から結婚式の招待状が来ているのに気づいたのは、もうすでに日が過ぎてからでした。
後日、美禰子がモデルとなった絵が展示されている展覧会に行きました。
この絵はどうかと友人たちに聞かれた三四郎は、題名が良くないと言います。かつて美彌子が言っていた、「ストレイ・シープ(迷羊)」という言葉を口の中で繰り返すのでした。
青空文庫:夏目漱石「三四郎」