川端康成の長編小説「雪国」は、名作として評価されています。昭和10年から断続的に書かれ続けたこの作品は、13年が経過してやっと完成しました。
それでは川端康成「雪国」の、簡単なあらすじを紹介します。
川端康成「雪国」あらすじ
物語は、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という、有名なフレーズから始まります。
雪国をめざして
十二月の初め、島村は雪国に向かって汽車に乗っていました。彼は妻子持ちですが、親譲りの財産で、自由気ままな生活を送っています。
そんな中、汽車の中で、病人の男性に付き添う若い娘に興味を惹かれます。そして、島村の降りた駅で、彼女たちも下車しました。
その後、島村は行きつけの温泉宿に赴き、芸者の駒子とともに夜を過ごしました。駒子との出会いは昨年の五月、島村が初めて温泉場を訪れたときのことです。
まだ見習いだった駒子が、酒に酔って島村の部屋へやって来て、一夜を共にしたのです。それからまもなく、駒子は芸者になりました。
汽車での男女と駒子
島村が温泉街を散歩していると、駒子に踊りの師匠の家に行こうと誘われます。そこで、昨日汽車で見かけた病気の男性が、師匠の息子の行男であると知ります。
また、付き添っていた女性の葉子も、駒子の知り合いのようでした。
行男は腸結核で長くないため、帰郷したのだといいます。駒子は行男の許嫁で、その治療費を稼ぐために芸者に出されたと聞きますが、駒子はそれを否定しました。
そして葉子は、行男の恋人のようです。
島村が帰る日、行男が危篤だという知らせを受けます。ですが、駒子はそれを見たくないと言い、駅まで島村を見送りました。
宿への再訪
翌々年の秋、島村は再び温泉宿を訪れます。あのあと行男は亡くなり、その父である師匠も亡くなったのだといいます。
ある晩、葉子が駒子の伝言を預かって、島村の部屋へやってきます。そこで二人は言葉を交わし、葉子が帰った後で、駒子は葉子への嫉妬を漏らします。
島村が駒子に「君はいい女」だと言いますが、理由を聞いても答えず、それを誤解した駒子は怒ってしまいました。
繭倉の火災と犠牲
冬になっても島村は東京へは帰らず、宿へ留まりました。天の川が綺麗に見えるある夜、駒子は島村に、あなたが帰ったら私は真面目に暮らすと言います。
そんなとき、映画の上映会になっていた繭倉が火事になります。二人が駆けつけると、一人の女性が二階から静かに落ちて動かなくなりました。
その女性は葉子でした。駒子は駆け寄って葉子を抱きしめます。
島村は、駒子が自分の犠牲か刑罰を抱いているように見えたのでした。
感想
簡単にストーリーを説明すると、妻子持ちの男が温泉宿で芸者と気ままに過ごしている、といった印象です。だけど、美しい文体が、島村と駒子の関係をキレイなものにしているように感じます。
もしかして美しいと感じるのは、現実感を抱かないからかもしれません。
奥さんと子供を放置していることに、なんの罪悪感も抱いていない島村。許婚のために、身売りされた哀れなはずの駒子ですが、そんな態度を見せません。
そのどちらにも、現実感を伴わないから美しいのでしょうか。
雪国での二人の関係は冷えているのか、それとも情熱的なのか、実際お互いをどんな気持ちで見ているのか。最終的に二人はどうなってしまうのでしょう。
川端康成の美しい文体が絶賛されている小説です。機会があったら読んでみてください。