千と千尋の神隠しは、2001年公開のジブリ映画です。人気作品であるがゆえに、様々な憶測や噂、エピソードが出回っています。
今回はそんな不思議な世界観を持ち合わせている「千と千尋の神隠し」の、都市伝説をいくつかまとめてみました。
千と千尋の神隠しの都市伝説
千と千尋の神隠しは、主人公の少女が不思議な世界に迷い込み、豚になった両親を助けるために奮闘するという物語です。
千尋のミスで契約不成立?
千尋は湯婆婆との契約を交わしたのに、最後はなぜ帰れるのかという疑問を持った人はいると思います。
その理由は、ハクが湯婆婆に「坊を連れ戻してくるから、代わりに千尋と両親を元の世界に」と掛け合ってくれたおかげもあります。
だけど、実は最初から契約が成立していなかったのではないかといわれているんです。
千尋が湯婆婆と初めて会ったとき、契約書にサインをするシーンがあります。このとき千尋は、「荻野」と書かなければいけないところを、「荻」の漢字の「火」を「犬」と書き間違えているんですね。
この時点ですでに、名前を違って書いているということ。そのため、正式な契約が成立していなかったのではないかという説があります。
千尋はまだ10歳ですし、状況的に混乱していたから、自分の名前を書き間違えてしまったとしても無理はありません。だけど、そのミスが結果的に助かることに繋がったということ。
湯屋とは現代の風俗業だった?
宮崎駿監督は、「千と千尋の神隠し」のインタビューの際に、以下のように答えています。
「今の世界として描くには何がいちばんふさわしいかと言えば、それは風俗産業だと思うんですよ。日本はすべて風俗産業みたいな社会になってるじゃないですか」
主人公の千尋は不思議な街に迷い込み、湯女として働くことになります。この湯女とは、江戸時代に存在していた、今で言うところのソープ嬢を指すとのこと。
湯婆婆の油屋には「回春」と書かれた文字もあるので、宮崎監督の言葉に真実味を感じます。
実際に千尋が湯屋で働くことになったときに、湯婆婆から「千」と言う名前を与えられます。まさに源氏名を表しているのではないでしょうか。
アニメで扱うテーマとしては異例ですね。監督は、現代の少女を取り巻く危うい風潮を表現したかったのかもしれません。
実はみんな亡くなっていた?
物語の序盤で、車を運転しているのは父親です。でも、突然スピードをあげて走行しているシーンがあります。
その後、導かれるように不思議なトンネルに向かっていく様子が描かれているんですね。実はこの時点で、事故に遭って家族全員亡くなっているのではないかという説がささやかれています。
確かに考えてみると、事故に遭っていても不思議ではないくらいのスピードで走っているような……。
実際、千尋が不思議な街に着いたとき、体が透けています。この描写は、千尋が既に亡くなっているからではないかとか。
振り返ってはいけない理由とは?
最後に元の世界へ帰るとき、千尋はハクに振り返ってはいけないと言われます。この描写と同じような話が、神話にもあるんですね。
日本神話では、黄泉国へイザナミに会いに行ったイザナギが、「決してこちらを見てはいけない」という約束を破ります。
そしてイザナギは、恐ろしい風貌になったイザナミに追いかけられてしまうんです。
また、旧約聖書でも、似たような話があります。「ソドムとゴモラ」に登場するロトの妻が、「振り返ってはいけない」という約束を破ったことで、塩の柱になってしまうんです。
異世界と現実とを行き来するには、振り返ると災難が待ち受けているというパターンがあるということ。ただ、約束を破ってはいけないという、単純な意味なのかもしれません。
まとめ
大ヒットした千と千尋の神隠しは、今でもたくさんの都市伝説を生み出しています。
細かく見ていくと、さらに謎が深まり、おもしろみが増していく作品ですね。
また、物語の舞台とされている台湾北部にある九份(きゅうふん、ジョウフン)という町は、映画の影響もあり、今でも人気観光スポットのひとつとなっています。
ただ、台湾はあくまでうわさです。実際のところは、いくつかの温泉をモデルにしたと、金曜ロードショー公式ツイッターが書き込みをしています。
独特のデザインと構造が印象的な油屋の建物。特定の場所がモデルだという話も時々あるようですが、宮崎監督は「色々な温泉が入っていて特定のモデルはない」と言っています。ただ美術監督の武重洋二さん曰く、ジブリの社員旅行で行った四国の道後温泉は油屋の外装を描く際に参考になったとのこと→ pic.twitter.com/d2lDoe3Nm4
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) August 16, 2019
人気だからこそ、憶測を呼び、都市伝説が語られるんですね。千と千尋の神隠しは、これからも色あせることなく、さまざまな年代や国の人たちに親しまれていくのでしょう。