『火垂るの墓』は清太と節子という兄妹が、戦時中にどう生き抜き、どう生活していたのかを鮮明に描いた物語です。数あるジブリ作品の中でも、異色の雰囲気だといえます。
8月15日の終戦日が近づくとテレビ放送されることがあるので、年齢関係なく、一度は見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。
そんな『火垂るの墓』には、いくつかの都市伝説がささやかれています。
火垂るの墓の都市伝説
『火垂るの墓』は、原作者である野坂昭如さんの実体験を元に描かれた作品です。
節子は駅で清太を待っている？
タイトルにもなっている『火垂るの墓』、そして映画のオープニングでドロップ缶の周りをふわりと飛ぶ蛍たち。
都市伝説の中には、蛍の光そのものが魂を表しているのではないかといわれています。
そして、なぜ「火垂る」なのかは、明らかにされていないんですね。だけど、火で燃えてしまった町や人々、多くの人が亡くなった戦争なので、儚い命の蛍と重ね合わせたのかもしれません。
また、蛍のように儚く散ってしまった節子は、実は違う場所で登場しているとか。それは、同じジブリ作品である『千と千尋の神隠し』の中です。
この作品の後半に登場する水上駅のシーンに、節子に似ている少女がじっとこちらを見ているという場面があります。
『火垂るの墓』では兄・清太は駅で亡くなってしまうのですが、そんな兄を節子はずっと駅で待っているのではないかと噂されているんです。
『千と千尋の神隠し』は、神々が住まう異世界です。そんな世界の駅で影のようにじっと電車を見つめているシーンは、なんとなく怖いような不思議な雰囲気を感じます。
ずっと兄を待っているのだとしたらとても悲しいですし、どうにか会わせてあげたいとも思ってしまいます。だけど、実際のところはただの都市伝説のようです。
高畑勲監督があるインタビューで語ったところによると、幽霊になった二人はこの悲惨な体験を繰り返しているのだとか。
こちらの個人ブログで高畑監督のインタビュー記事を紹介しています。
ということは、節子は駅で兄を待っているのではなく、ずっと清太と彷徨っているのでしょう。
節子の本当の死因とは？
劇中では、最終的に栄養失調で二人とも亡くなってしまいます。だけど、実際は栄養失調ではなく、別の原因があったのではないかといわれているんです。
お母さんが重体になってしまった空襲の後に降った雨が、節子の左目の中に入ったとき。節子は左目が痛いと訴えていました。
また、清太はお風呂で節子の背中に｢あせも｣を発見。その療養として海に行き、患部を塩水に浸けるシーンがあります。
あせもはまだ二人とも親戚の家で暮らしていた頃のこと。このときすでに節子の体には、なんらかの病が潜んでいたのではないかといわれているんです。
諸説ありますが、小さい体の節子には、ほんの少しのことでも体に悪影響が出てしまう可能性はあるのかもしれません。
声優の現在の消息が不明？
『火垂るの墓』では、本職のアニメ声優さんはほとんど起用されていません。
まず、清太役は当時16歳1ヶ月の俳優さん、節子役はなんと5歳11ヶ月の女の子だというから驚き。二人とも関西出身の子役ですが、どうやら今現在の消息はわかっていないようです。
2012年、Blu-ray発売イベントが行われました。お二人に出演してもらおうと主催者側が連絡を取ろうとしたところ、消息がわからないため、イベントへの出演は実現していません。
なお、主催者側によれば、今回のイベントにあたり、清太役の辰巳努さん、節子役の白石綾乃さんにも出演依頼をしようと連絡先を探したが、現在では何処で何をしているのか、わからなかったという。
まとめ
『火垂るの墓』には、たくさんの都市伝説が存在します。調べると、けっこう興味深いですね。
悲惨な作品は見るのはつらいですが、こうやって後世に伝えていくことは大事なことだと思います。
たとえ最初は不思議な都市伝説から気になったとしても、その作品を見ることで何かしら感じてもらえたとしたら、制作側としたら本望ではないでしょうか。
こちらの週刊現代の記事では、『火垂るの墓』に関わった美術監督とプロデューサーが対談しています。興味深い内容になっているので、作品が気になる人にはおすすめです。
